子どもの人権条例の話しを聞いて、予定が終わったあと、私は別行動で
川崎市内の小学校でいじめを受けてPTSDを発症したWさんのご両親に会う予定でした。
wさんのお父さんが、我が家の裁判の傍聴に来てくださり、知り合うことができました。
wさんのいじめについては、「川崎市教育委員会が調査をして、いじめが認められた」という話しを聞いていましたので、その調査について詳しく教えてくださいとお願いしていました。
wさんのお父さんが調査について市教委の担当者から、私たちが直接話しを聞くことが出来るようにしてくれました。市教委の担当者の方は、快く説明を承諾してくださり、時間外にもかかわらず初対面の私たちに調査の経緯、結果を説明してくれました。
2001年5月に、小学校校長が解決困難事例として、教育委員会にいじめを報告し、教育委員会が学校の責任を明らかにするために事件の調査に乗り出した。2001年に開始されたが、当時の一部教員と加害児童保護者による上記のごとき妨害があり、長い時間を経て、2002年9月に調査が完成して、2003年1月19日に小校長宛に調査の結果と教育委員会の見解を送り、1月28日に記者会見を開き謝罪を行った。そして3月11日、事件の関係教員に対して処分が下された。
調査に当たったのは、教育委員会事務局の総務部庶務課にある「法政・賠償・情報公開担当」です。
浜松市では、この担当は学校教育部指導課が担当しています。wさんの場合は、解決困難事例として、校長が「法政・賠償・情報公開担当」へ調査依頼ができたことは、学校現場の負担も減らすことができます。浜松市の場合は、窓口がひとつしかないので、指導課で解決困難になった場合は、他への調査と救済方法が子どもにも学校にもありません。
法政・賠償・情報公開担当者は、「裁判でしか解決が図れないのはおかしい。訴訟を起こさない解決を図るための調査を行う」と説明したのを聞いて、私は感銘しました。
wさんのお父さんは、この調査結果を受けて、当初wさんへのいじめを放置した担任への許し難い気持ちは残るものの、ここまで調査に市教委の取り組みを認めて、市の責任を問うことはしませんでした。
wさんは、事件後すぐに市外へ引っ越していましたが、市教委は転校を理由に調査を放棄することなく、また調査結果を踏まえて、wさんとご両親に市の責任を問うか問わないかを聞いたそうです。
ここまで、責任をはっきりと示したことに、wさんのお父さんは「人の気持ちを感じることができて、許すことができ、市の責任を問うことはしませんでした。
私たちが望んでいたもの、望んできたものが、実際に可能な取り組みであることがわかりました。
残念ながら、いじめた子どもと親は、「W子さんをいじめてはいない」ということで、現在係争中です。
その他に、川崎市がいじめ調査が関われる機関
「人権オンブズパーソン」もあるし、「子どもの人権条例で守られる」という権利が出来ています。
その後、Wさんのご両親と食事をしましたが、お父さんが私に「我が家の裁判は、70%のところからの出発でしたが、viancaさん達は0%からの出発で大変だったでしょう」と言ってくれました。
0%からの出発が、ほとんどのいじめ裁判のが現状です。裁判を起こすこともできない人達がたくさんいます。この川崎市の取り組みを、是非多くの行政に取り入れてほしいと思いました。