いじめ自殺が相次ぐ中で、いじめ問題に取り組んでいた活動が、注目されるようになってきました。
長年、いじめの現状は変わっていない中で、狭い地域と関心を持ってかかわる人達にしか伝わらなかったことへ、多くの人達に関心を持ってもらえるようになったことは、嬉しいことです。
やっと、一番高いハードルを越えられたという感じがしますが、これからの課題が見えてきました。
そのうちのひとつは、安心して相談できる窓口。既存の教育委員会や行政の設置している窓口が、急に対応が変わるとは考えられないし、相談者がどんな人が関わっているかわからないことが相談者には大きな不安要素となります。
今朝の新聞で、12年前にいじめ自殺で亡くなった、愛知県の大河内清輝君のお父さんが発起人となり医師や塾経営者、現役の校長たちのいじめ相談ネットワークが設立したことを知りました。
「木村登校拒否相談室」のホームページに詳しい連絡先が掲載されています。
私たちも以前は、相談を受けていましたが、解決に結びつくことが困難な状況では限界を感じて、安易に相談を受けることはやめました。
いじめ相談窓口を設置することは、容易ではありませんが、経験者が立ち上がらなけらばならないという思いで、この相談所設立に至ったのでしょう。経験者が関わるというところでは、期待できると思います。
長年に渡り行われてきた地道な活動から、地域で出来上がってきたネットワークが生かされることが、地域に必要なことだと感じています。
もうひとつは、大きな不安です。先日のNEWS23で、北九州市の市立皿倉小で起きた金銭を要求する集団いじめで、自殺した校長のことを取り上げていました。
この記事のように、何人かの保護者は、市教委とマスコミに追い詰められたとインタビューに答えていました。
また、校長がいじめを解決しようと問題に向き合っていた、不登校生徒に親身になって対応していた先生ということを話していました。
この報道が、校長の美談になってしまって地域がいじめの事実に向き合うことなく、いじめられた子どもの被害が認められなくなって非難が起きることがないと良いけれどと、私は不安になりました。
今回乗り越えた大きなハードルは、「学校の問題」です。
いじめを認めない学校が、その後次々と嘘で固めた報告をして、いじめられた子どもの問題、家族の問題としてきたことを、なかなか信じてもらうことができませんでした。いままでは、多くのいじめ問題は「いじめられた子どもと家族の問題」にされてきました。
なんかおかしいと思っている人がいても、「そこまでは学校はしないだろう、学校を信じたい」ということで安心したいという気持ちがあるのでしょう。
しかし、その次に起きることは、その安心感を得るために、声を挙げた被害者・遺族を非難するなどして、地域で孤立させられることが、私たちにとっては一番辛いことになっていきます。
ある遺族は、1週間で地域が変わってきたと言いました。
母親が教育ママだったから、父親が仕事が忙しかったから悪いなど。葬儀の時に、子どもを失った悲しみをわかってくれていた人達と思っていたのに、わずかの間に非難に変わっていく様子は、何が起きたのかと混乱するばかりです。
学校に登校させられない、ダメな親、子どもを甘やかす、過保護な親と言われる
買い物しているだけでも、白い目で見られる
なぜ、こんなことが起きるのかと考え始めたとき、これは我が子の問題だけではないと気づくことになりますが、
まだ、活動しているの?
裁判は終わらないの?
いつまでも、悲しんでいても仕方ないのに、早く忘れたら
などと言われて、地域の問題として捉えてもらうことができません。
数年して、私に話しかけてきてくれたあるお母さんは、地域で起きている誹謗・中傷に耐えられないと思っていても、なかなか私に話しかけることができなかったと言っていました。
加害者が所属していた部活の保護者会では事実報告は曖昧で「、学校が対応したけれど被害者が謝罪に応じない。このまま騒ぎが大きくなることで起きる子ども達へ進路の影響がある」という漠然とした不安をあおる学校の説明に、保護者が一斉に、我が子を守るために学校の説明に頷いたと聞きました。その後の私たちに対する悪口は、エスカレートして聞くに堪えないものだったそうです。
太郎が、「勝手に転んで怪我をしたのに、大騒ぎをしている」という話しを聞いたという人が、「なぜ、こんなに事実が違うことが起きるの」といって連絡をくれました。
私たちは、この様な体験が被害者になったときは、どこにも起きていることを知ることになりましたが、いままではなかなか信じてもらうことができませんでした。
いきなり、この様な問題を伝えても信じてもらえないことがわかり、まずはいじめの現状をわかってもらおうと
「メッセージ展」を開催することになりました。
活動を継続してきたことで、少しずつ活動を理解してくれる人達も増えて、ネットワークも広がりましたが、まだまだ私たちの会ができることは限られています。
もっと、地域で良い力が湧き、繋がって、子ども達に具体的に対応できることを作っていけると良いと考えています。