静岡新聞夕刊で大きく掲載された記事 。
恐喝(金品を強要する行為)は、複雑な被害を生むことが多い。被害者が言い出しにくいこともあって、事件が明るみになったときには、被害が拡大していることも多い。
加害者から要求された金額を被害者が稼ぐために、万引き、窃盗、同級生や下級生への恐喝、今回のような売春などと、被害者が加害者になっていくケースから被害は拡大していくことがある。
なぜ、断れないのか?と思うかもしれないけれど、恐喝が言葉だけではなく、体への暴力、リンチが伴ったり、家族の財布からお金を盗んだりしたことや万引きをしたことを「ばらす」と脅されたりすると、
被害を受けた子どもは、次第に無気力になっていき従うようになってしまう。
平成6年11月に、いじめ自殺した愛知県西尾市の大河内清輝君の遺書には、次のように書かれていました。
何で奴らのいいなりになったか?それは、川でのできごとがきっかけ。川につれていかれて、何をするかと思ったら、いきなり、顔をドボン。とても苦しいので、手をギュッとひねって、助けをあげたら、また、ドボン。こんなことが四回ぐらい?あった。(略)泳いで逃げたら、足をつかまれてまた、ドボン、しかも足がつかないから、とても恐怖をかんじた。それ以来、残念でしたが、いいなりになりました。(略)
同級生に恐喝、リンチを受けていた男子高校生は、体験を次のように話しました。
サッカーボールのように、頭を数人に蹴られたときは、本当に殺されると思いました。
この出来事のあと、僕は死にたくないから、彼らの言いなりになりました。
言いなりになっている行為が、周囲から見ると遊び仲間に見えるたり、自分で工面したお金で飲み食いしたり、遊んだすれば一方的に恐喝されていると言えなくて、あとで事件が表面化しても被害が認められなかったり、同罪と扱われたりするなど、事件後の学校、警察の対応が悪いケースが多い。
「取られた金額を返して、謝罪させて、仲直りさせました」という学校の報告を聞いて、子どもの被害を知り驚いたという母親の話を聞いたことがある。子どもは、母親の「これで、良いの?」という問いかけに、「また、やれらると怖いから、黙っていて」と言われて、納得できないけれど何もできないと言っていました。
校長は、「事実を把握していたが、他の生徒への影響があるため慎重に指導と対応してきた」とコメントしていいますが、事実を伝えないことによって、被害が広がっていくことも考えられる。
教育長は「今後は他の生徒に関しては、卒業を控えいるので、動揺のないように学校に対応を求めていく」とコメントしていますが、動揺しないようにと言われて、動揺しない生徒がいるとは思うことは出来ない。
学校で起きた事実を伝えて、どのように今後対応していくのかきちんと伝えることが、生徒たちが安心して卒業していくために必要なことではないかと思っています。