要望書提出しました

昨年のいじめ自殺の報道のきかっけとなった福岡県筑前町の森さん、北海道滝川市の小幡さんなど、遺族7人と被害者当事者一人と私、関係者2名で、学校事故事件の事実を「当事者や親が知る権利」についての要望書を提出してきました。

11時から18時まで、3つの議員会館と迷路のような国会議事堂内を行ったり来たり移動するだけで、昼食時間が取れないほど過密なスケジュールでした。 各政党、委員会担当者、大臣との面談は短い時間でしたが、提出のみに終わらず、直接要望書の主旨、私たちの思いを伝えることができました。
当事者に知る権利がないことは、どこに置いても問題であるということで受け止めてもらえました。

要望書提出先

公明党日本共産党民主党、自由民主党、社民党

この問題を、どこへどのように検討し、取り組むかは、各党それぞれの回答でした。
今後も、詳しい現状について聞き取りと情報交換を行うことを約束していただけました。

文部科学省池坊保子副大臣

衆院青少年特別委員会 小宮山洋子委員長
子どものことは、超党派の議員で関わる事が鉄則。意見聴取の場を設けると約束してくださいました。

関係省庁への要請 対応者
法務省、内閣官房(教育再生会議担当室・片山純一参事官) 厚生労働省、総務省、文部科学省(初等中等教育局)

記者会見 には、新聞社、TV局が全社集まりましたが、報道では大きく取り上げられる事なく、残念でした。

<お知らせ>
本日29日、早速共産党が文教科学委員会の中で、教育3法に触れ、今回の要望書の内容について、質問行うと連絡がありました。

ネットで中継を、見ることができます。傍聴もできます。

要望書提出の団体名が必要ということになり、急きょ「NPO法人ジェントルハートプロジェクト及び学校事故・事件被害者・遺族有志の会」としました。

要望書の詳細は・・

[主旨]
子どもの心と命にかかわる事件・事故が多発しています。とくに昨年は、いじめ自殺でたくさんの大切な命が失われました。子どもたちを守るために実効性のある対策を立てることが大人としての急務です。
再発防止策を立てるために、まずしなければならないことは、何があったか事実を知ることです。事実を調査したうえで、どこに問題があったか原因を分析し、その問題を解決するために具体的な対策を立てることが必要です。
しかし、現状では、その事実認定があまりにもあいまいで、学校側の認識と被害者や遺族の認識には大きな隔たりがあります。にもかかわらず、双方の情報や意見を摺り合わせるという基本的な作業さえなされていません。
事件・事故の教訓が生かされることなく、同じことが繰り返し起きています。
被害者や遺族がたいへん辛い思いをしたり、加害者が反省する機会が奪われたり、憶測が飛び交うなかでたくさんの子どもたちが傷つくなどの二次被害も起きています。
国連は、1985年に「犯罪およびパワー濫用の被害者のための司法の基本原則宣言」(国連被害者人権宣言)を採択しました。常磐大学の犯罪被害者学第一任者である諸沢英道教授は、岩波ブックレット「被害者支援を創る」のなかで、数ある被害者の権利のなかでいちばん大切なのは「知る権利」だと書いています。
被害者や遺族の立ち直りのプロセスにおいて、事実を正確に知るということは、必要不可欠な要件です。とくに学校や学校のなかの人間関係で子どもを亡くした親にとっては、安全だと信じてわが子を預けていた学校で、自分の目の届かないところで、子どもが亡くなっているのです。なぜ、わが子が被害にあわなければならなかったのか、どのような経緯で、どうような思いを抱き、最後はどのような状況下で亡くなったか、せめて事実を知りたいと思うのは、当たり前の感情ではないでしょうか。
学校、もしくは家庭だけの偏った情報では事実の究明はできません。事件直後に広く情報を収集し、統合していく作業が必要です。とくに、当事者である子どもが亡くなった場合、周囲の子どもたちの調査協力は不可欠です。
人権への配慮は当然、必要です。しかし、たとえば個人情報保護法の目的は「個人情報を大切にし目的外使用を厳しく制限すること」です。「事件・事故の再発防止」の目的に使われることは、個人情報をおろそかにすることにはなりません。生命を守ることは何ものにも優先されるべきことです。
そして、被害者の親にとって、周囲にいた子どもたち、教師たちが持つ情報は、他人の情報ではなく、わが子の情報です。親が知りたいのは他人のことではなく、「わが子」につながる情報です。それなしには「わが子」のことを知り得ないのです。
被害者や遺族は、事件・事故によって大きな権利侵害を受けています。なかでも、生命が奪われるということは最大の人権侵害です。個人情報やプライバシーが侵されることよりずっと上位にある人権の侵害です。バランス感覚からいっても、大きなマイナスを背負わされた被害者や遺族の要望こそが優先されるべきではないでしょうか。もっと、当事者たちが何を望んでいるのかに耳を傾けてください。


[要望]

事件・事故が発生する前に
いじめや事件・事故は児童生徒の教育を受ける権利を侵害し、生命の安全を脅かします。文部科学省は、通知・通達文でことあるごとに、学校・家庭・地域の連携をうたっていますが、子どもを守るために情報の共有は欠かせません。
事件でも事故でも、子どもの心や体を傷つけるできごとが発生した場合、あるいは、予兆となるできごとが発生した場合、即刻、教師間や保護者と情報を共有し、連携して対応してください。
子どもに関する情報を学校と親とで共有することの重要性について再認識し、学校・教師はどのようなときに保護者と情報を共有するべきかのガイドラインを作成して、周知徹底をお願いします。

事件・事故が発生した時は
学校に係わる場所や人間関係のなかで、不幸にして、自殺や事件・事故が発生したときは、徹底した事実調査をお願いします。子どもたちは「命の大切さ」を大人の言葉で判断するのではなく、どれくらい大人たちが真剣に動くのかをみて感じ取ります。

事実調査の方法については、学校の調査だけでなく、被害者や遺族の意見を重視してください。
被害者に何があったのかの主な情報は、家庭と児童・生徒、教職員がもっています。時間がたつと記憶があいまいになったり、周囲に同調する動きが出てきます。子どもたちへの調査は、心の傷に配慮するなど、慎重さが必要ですが、学校・教師の素人判断で勝手に子どもたちの思いの吐き出しを封じるようなことはしないでください。

また、生徒からあがってきた情報は学校・教師や教育委員会が独占してよいものではありません。最初から、遺族に公開することを前提として、子どもたちに事実調査をしてください。これによって、児童生徒に書かせた作文やアンケートをめぐって、学校と遺族が対立することがなくなります。
被害者・遺族と学校はけっして対立するものではなく、協力して事実を調査し、事件・事故防止にむけて真摯に取り組んでいることを児童生徒に示すことができれば、子どもたちの協力は得られやすくなります。そして、それこそが、本来の姿であるべきではないでしょうか。

事実調査の経過や結果を第一に被害者や遺族、加害者として名前のあがった本人や保護者など、当事者に報告してください。
第三者機関や専門家との連携がうたわれていますが、第一に尊重され、情報提供を受けるべきは当事者だと思います。それが機能しないときや、原因分析や再発防止に向けての意見を募る段階で、当事者や遺族の許可を得て、第三者に情報提供してください。

被害を被った当事者が自ら動かなくてもすむように、学校・教育委員会は率先して情報を提供してください。今もっている情報について開示し、どのような方法で調査・報告を行うのか、いつ、どこにあげるのか、流れを説明してください。事件・事故の直後は被害者や遺族は混乱しています。口頭だけではなく文書でも行うなど、被害者・遺族の要望に沿った形の説明や報告をお願いします。

どうしても、当事者と学校との認識に違いが生じる場合、事故報告書には必ず、遺族を含めた当事者の意見を併記するよう、新たな事故報告書のフォーマットを作成してください。
発生した問題に対する家庭の認識や情報の記載欄を新設し、学校の認識や情報と併記すれば、情報の偏りを防ぎ、連携を確保する事ができます。
また、後日、事実と思われることが出てきた場合には、期限を設けることなく、訂正したり、追記したりすることが、学校・当事者双方においてできるようしてください。より正確な情報収集に常に心がけるようしてください。

得られた情報の公開にあたっては、どこまでを公開するのかを学校と被害者や遺族が協議して決めてください。情報の公開によって、被害者・遺族が追いつめられるような二次被害の出ないように十分配慮してください。

国、文部科学省、教育委員会、学校は、二度と同じ事件・事故が起こらないように、プライバシーに配慮したうえで情報の周知徹底をはかってください。

原因分析をもとに、責任の所在を明らかにし、適切な処分を行ってください。
文部科学省は通知・通達などで、「隠ぺい」を強くいさめる文書を出していますが、事件・事故を起こしてしまったこと以上に、事実を隠ぺいしたり、虚偽の報告をしたことに高いペナルティを科すようにすれば、より真実が出てきやすくなると思われます。
関係者の処分については、被害者や遺族の要望を入れるようにしてください。そうすれば、事件直後から当事者の存在を無視した対応はとりにくくなります。処分結果の報告なども当事者に積極的に情報提供するようにしてください。


[要望実現後の利点]
・ 被害者・遺族の多くは、真実を知るために仕方なく民事裁判を起こしています。裁判を起こさなくとも事実が明らかになり、責任の所在がはっきりして適切な処分や補償が行われ、再発防止策がきちんととられるのであれば、裁判を減らすことができます。
・ 加害行為をした人間に対し、反省を促し正しく生き直す指導ができます。
・ 子どもたちは大人たちの真剣な対応から、不正義が許されない事、命の大切さを実感することができ、「命の教育」「生きた道徳教育」ができます。
・ 事件・事故の教訓をもとに、二度と同じ過ちを繰り返さないための対策を立てることが出来ます。教訓が共有されれば、防止策が全国に広がります。
・ 早期解決が被害の深刻化を防ぎ、事件・事故に係わった人の心の回復が早まります。

以上の理由により、直ちに、学校、教育委員会、家庭、地域が共に情報を共有し、痛ましい事件・事故がこれ以上起きない社会になる事を強く望みます。

遺族の思い
耳をおおいたい事実があるかもしれませんので、今後生きていく上では知らない方が楽かもしれません。しかし、遺族となった親にとりましては、せめて我が子の身に起きた真実を知ってやりたいのです。
命が戻ってこないのなら、せめて真実を知り心から慰め、その死が無駄にならないよう、二度と同じ事を繰り返して欲しくないのです。
残念ながら、亡くなった我が子に一番近い所に居るはずの親が、個人情報の名の下で行われている偏った情報管理の為に、真実から一番遠くに追いやられているのが現実です。
学校と教育委員会が持っている情報を、当の両親が知る事が出来ないのです。
我が子の死に関わる事実が、個人情報保護の傘下に入ってしまうという矛盾が起きています。せめて、死ぬほど辛かった事とは何だったのかを学校と一緒に探したいだけです。
 わが子の死の理由を親にも教えてください。


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この記事へのコメント
お疲れさまでした。
またメール、ありがとうございました。

「学校と教育委員会が持っている情報を、当の両親が知る事が出来ない」
というのは、非常におかしな事です。
また警察で調書を取られた内容も
簡単に本人でさえ「確認」出来ないのではないでしょうか。
何でもかんでも訴訟にしなくてはいけないというのは
力の弱い者にとって、非常に不利ですよね。
Posted by mo-mo at 2007年05月30日 00:36
>mo-moさん

そうなんですよ。
警察の調書も、かなり問題ありです。
当事者が置き去りにされて、問題や事件の深層には触れずに、表面的な問題が処理されていくばかりでは。

きちんと、そろそろ向き合っていかないと、被害者も加害者も増えていくんでしょうね。
Posted by vianca at 2007年05月30日 01:20
メールありがとうございました。
バタバタしていて、返信もせず、申しわけありません。

国家の中枢に、一人二人・・・と共感し真摯に考え、行動してくれる人が増えることを願います。

「人ごと」ではないんですよね。
そして、子どもがいる人だけの問題でもない。

「真実」を明らかにすることは、とても大切なことだと思います。
「隠匿」は多くの人を傷つけるだけなのですから・・・。

viancaさんの行動力と考えの深さ・・・いつも感心すると共に、尊敬してます!
これからも、いろいろ教えてくださいね。
Posted by ぴよぴよ at 2007年06月11日 08:36
>ぴよぴよさん

まずは、真実を知っていただく目的でした。
当事者の声を、どの現場でも大事にしてほしいですね。

もう何年も考えていたことが、やっと届けられました。
みんなの力の集結です。ひとりじゃないってことも、大きな喜びです(^_^)v
Posted by vianca at 2007年06月11日 12:52
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