少年犯罪被害者支援弁護士ネットワーク

5月25日に私たちが要望書提出に動き回っている間に、同じ国会内では「改正少年法」が成立しました。

今回の改正で、議論を呼びながらも引き下げられた対象年齢。
『刑事責任を問われない14歳未満の「触法少年」が起こした事件について、警察に強制調査権を与えたうえ、おおむね12歳以上であれば少年院送致も可能にする』

要望書を提出したメンバーも、翌日26日の「少年犯罪被害者支援弁護士ネットワーク」の集会に集まった被害者家族・遺族も、この法案成立に賛成してはいませんでした。
法律は改正されても、被害者への支援は変わりません。被害者が「知る権利」は、閉ざされたままです。加害者少年の更正に、必要なシステムの改善の具体策は,依然見えてきません。

事件後に被害者・遺族に起きる、様々な2次被害。全国的に、少年犯罪の加害者・被害者共に関わる弁護士が少ない現状の中で、このネットワークに参加している弁護士に出会えたことは、かなり恵まれたケースです。加害者の弁護をする中でも、加害者の擁護に撤するのではなく、被害者の被害の事実に向き合わせることを実践しています。
それでも、当事者との思いや考え方の行き違いが生じることもあり、何度もいろんな場面で議論を重ねてきました。
7回目となった「少年犯罪被害者支援弁護士ネットワーク」の集会は、今回被害者・遺族、弁護士ととの懇談形式で行われました。
この長年関わってきたそれぞれの思いから、被害者・遺族、弁護士と同時に、ネットワークを実践的に生かしていくことができる取り組み(ネットワーク)を立ち上げたいという構想が持ち上がりました。

警察は事件を立件するために、事件の事実を「どんなことが起きたのか」ということを調べるのに対して、被害者・遺族は、「どうして事件が起きてしまったのか」、加害者が事件をどう考え、被害者のことをどのように考えているかのを知りたいという違いがあります。
せっかく、事件調書が開示されても、知りたいことを知ることができません。
また、このような状況では、加害者は反省と謝罪する機会を逃していると私たちは考えています。

昨日、衆院法務委員会で可決された犯罪被害者・遺族が刑事裁判で直接、被告に質問したり、求刑の意見を述べたりできる「被害者参加制度」の創設を盛り込んだ刑事訴訟法改正案について、弁護士からの賛成か反対かの意見聴取がありました。参加者した被害者・遺族のほとんどは、参加できる権利を望んでいます。

弁護士からは、改正案を慎重に考える必要性を感じているとして、現行の警察の捜査方法から司法制度を変えていかないと、現行の流れのままで被害者・遺族が参加すると、被害者・遺族の要望がかなえられないまま、傷つくことの方が多いということでした。
山口母子殺人事件の本村さんのように、加害者や加害者弁護人、裁判官に対して、自分の思いをぶつけられる人は少ないと思うこと、加害者が被害者の被害の大きさを認識していないと、被害者・遺族の思いに反して、否認したり酷い言葉を浴びせたり、また加害者弁護士が、加害者を擁護し闘うことに撤することで、被害者・遺族が傷ついたり、充分な意見陳述ができない状況になっても、その状況を理解して配慮することまで、考えられていない現状を考慮した意見でした。
権利を認めた上で、充分な検討が必要なことに気づいた意見は、私には納得できるものでした。

少年法は、被害者参加について検討されていませんが、今回の法案の議論を元に、早期から被害者が事件の捜査等に関わることができるシステムの確立と支援体制を整えること、どんな場においても被害者・遺族の救済が優先されることを第一とすること、被害者・遺族の心情を理解し寄り添うことができる人間味ある弁護士の育成など、当事者と共にネットワークを発展させていく方向で話しがまとまり、とても有意義な話し合いができました。

国会でも、「被害者参加制度」については、3年間を目途に検討されると知り、ひとまずホッとしたところです。


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