夜の病院で



来週、裁判所へ提出する意見書を、太郎の主治医が作成中でした。
仕上げにかかり、必要な資料を病院に届け、事件後からの現在までの症状と経過を確認しながら、始まった作業は、昨夕は23時まで、今日の午後を使って、やっと意見書が出来上がりました。
 
心の傷は、見えにくいしわかりにくいのは承知しているけれど、外を歩いてれば「元気!」と言われて、どこかへでかけたと言えば「治った!」と単純な解釈に対して、どう伝えれば理解してもらえるのか、悩み続けていました。

少しでも回復したいと思い、恐怖心と戦いながら行動範囲を広げてきた太郎の気持ちと、頑張って広げていたいくつかの行動は、実は心的外傷の症状による「心の回避」があって恐怖心が麻痺していたことだとわかったこともあって、事件直後から医学的な所見に照らし合わせて、意見書にまとめました。

事件のことや辛くて苦しかった頃のことを思い出すのは、何回聞かれても、必要なこととわかっていても大変はことで、途中から太郎はひどく疲労していました。私も、疲労感を感じています。

被害があまりにも認められないから、仕方なく起こした最終手段の裁判。裁判所でも、太郎に起きた偽りのない症状が認められないために、主治医の先生に意見書を書いていただかなければならない。なんか、おかしいといつも思っています。

主治医は、日本でも数少ない「PTSD」の専門医。最初から主治医とめぐり合うことができた太郎は、本当に恵まれていたと思います。太郎が入院していた病棟には、県外、関西方面からも専門医を探してきた人や、県内の各地から病院を探してきたという人がたくさんいました。事件に巻き込まれた人、子どもを事件・事故で亡くした人などがいて、「病院が安息の場所」だと、ほとんどの人が言っていました。

数少ない「PTSD」の専門医のなり手がない理由のひとつは、犯罪や事故に関わる心的外傷を証明する意見書作成などの、本来の治療以外の仕事の煩雑さにあると聞いたことがあります。

「少しでも、心の傷の理解が深まっていくことを願う」とおしゃってくださって多忙な中で意見書を作成してくださった、主治医に感謝しています。


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