2009年に導入予定の裁判員制度の対象となる殺人などの重大事件に絞って、検察官による容疑者取り調べの様子を録音・録画する捜査の「可視化」を7月から東京地検で試行することを、法務・検察当局が決めました。
ここで問題とされているのは、容疑者の「自白強要」ですが、被害者・遺族にも取り調べ中で起きている問題は、たくさんあります。
被害届けや告訴状の受け取り拒否、被害者にも非があるかのような発言、憶測で作られたあらすじが作られていたり・・・反論すれば暴言を吐かれたり、嘘つき呼ばわりされたり、供述をあらすじ通りに強要されたりなど、密室の中で行われるやり取りは、容疑者のみに起こるものではありません。
信頼していた警察に、事件の解決を願って被害届を提出し、太郎から事情聴取をすると言われて、太郎はひとりで3回の事情聴取を受けていました。当時太郎が未成年だったために、供述調書には保護者の確認が必要ということで、私が太郎の被害調書の確認をするために、初めて警察官が読み上げて聴かされた調書の内容には、愕然としました。
暴行を振るった主犯の供述は、太郎が殴る蹴るされたと言っている回数より少ないからと、太郎の証言を信じてもらえず、暴行現場にいた少年らの供述に合わせて、事件を「喧嘩」扱いして、太郎にも非があったような調書を警察官が説明しながら、読み上げて行きました。
事実と違うと何度も太郎と私が伝えたのですが、警察官が考えたと思うあらすじ通りに、目の前で調書がワープロで打ち込まれていくのです。
3時間近く拘束され、最後の1ページのみを提示されて、無理矢理署名捺印させられました。
この供述調書を、民事裁判で謄写をした後確認すると、数カ所改ざんされていました。
警察官が何回も読み直した調書に、あり得ないはずの事実「今回の事件で、暴力を振るわれたのは、僕と親・・」という、記述が追加されていたことで、改ざんされた事実があったことが、はっきりしました。
事件後も数々の嫌がらせが続き、警察に何度も足を運びました。
このときの経験を教訓に、太郎ひとりの事情聴取には応じない、作成した調書を全て確認すること条件をあらかじめ伝えるようにしています。
当事者となって、初めて知った事実に、当時は署名捺印を拒否することもできず、どうしたら良いのかもわかりませんでした。
このようなことが、いつまでも繰り返されていいはずがありません。
まずは、今回の試みから、公正な取り調べが行われるきっかけとなることを期待したいと思います。