ふたつのいじめ裁判

昨年12月21日は、午前中は川崎市Wさんのいじめ裁判の判決、午後は、横浜の小森香澄さんのいじめ自殺裁判で、学校設置者である神奈川県和解が成立するということで、出かけてきました。

どちらも、Wさんと香澄さんのいじめによる心の傷が認められました。
そして、体への暴力でない、言葉や態度による苦痛がいじめと認められました。

小森さんの和解については、日本のこどもたちのHPに報告に掲載されています。

Wさんの判決については、川崎市W児いじめ事件のHPに掲載されています。

現在の司法制度の中では、裁判を起こしても、すべてに満足した結果を得られることはないけれど、それぞれが司法の判断に一定の評価をしています。
裁判を起こさなければ得られなかったこと、裁判を起こしても得ることができなかったもの・・・それに対して、どのように受け止めるかは、やはりそれぞれの思いや考え方でで違います。

精神的な苦痛に対しての司法上の損害金額の評価は、まだまだ低いのが現状です。
金額ではなくて、精神的な苦痛が認められたことは、大きな意義がありますが、あまりにも少ない金額に私は少し腹立たしい気持ちでした。
精神的な被害は、認められにくい上に、大袈裟とか仮病じゃないかと言われたり、長年症状に苦しめられていることがなかなか理解されません。そして、一生心の傷が消えることはありません。心の傷の深さと後遺症とも言える「一生抱える傷」という面での認識が、一般的にまだまだ足りないようです。

それでも、裁判や活動を通して、私達が出会った人達から、人を信じることができるようになり、支え合うことができたことはなによりも良いことでした。
現在高校生になったWさんが、多くの方に感謝する言葉を伝えて、いま毎日学校に楽しく通っているという報告が、私には一番嬉しいことでした。太郎もそうでしたが、子ども達は自分が受けたいじめ被害を受け止め、それでも前向きに生きようとしているのに、大人がいじめを隠したり、ないものにしようとして事実と向き合おうとしないまま、励ましたり、早く忘れろという間違った対応を繰り返しています。

なかなか進まない、いじめ対策の中で、なくならないいじめ裁判。少しずつ、司法の中でもいじめ裁判は「いじめの事実認定」と「心の傷」が認められるようになってきました。
自分達のことだけでなく、大きな社会問題として闘い続けてきた多くの被害者と遺族の方達の判決が、ホンの少しずつ司法を動かしてはいるようですが、やはり裁判ではない解決に導くシステムの確立が必要と思いました。




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